高校3年生当時の私。中高一貫私立進学校などに通っていたわけではないため、志望の××大学に向けて週に数回大手予備校の高3コースに通っていた。
秋ごろだったろうか、別の有名大手予備校、○○塾からダイレクトメールが来た。だいたいこういう内容。
××大学志望の高3生に特別集中授業を開講します。当予備校厳選の講師が2日間にわたってお届けする内容の濃い授業。費用は教材費の500円のみ。
模擬試験のデータから××大学志望者を選別し、こういうのを送りつけているらしい。○○塾は友達も通っている有名予備校だし、500円というのは良い。さっそく申し込んで受講した。授業の内容は悪くなかったが、所詮2日間だけの講義。効果があったのかどうかはわからない。
春になり、私は××大学に入学した。それと時期を同じくして○○塾が「今年も当予備校から××大学に1000名合格!」のような宣伝を始めた。○○塾に2日間だけ通った私も当然のようにその1000名に数えられており、○○塾発行の合格者名簿にも私の名前が載っていた。
察しの良い方ならとっくにお気づきだろうが、この○○塾は合格者数を増やすために破格の値段で2日間の集中講義を設定しているのであった。
こういう商売は現在でも行われているらしく、塾長をされている方のコラムでも同様の問題が指摘されている。
さて、この問題、なにかに似ていませんか。
asahi.com(朝日新聞社):南部さんは日本人?米国人? 人材流動化で意見百出 - サイエンス
7日の物理学賞発表について、海外メディアの多くは受賞者を「2人の日本人と1人の米国人」と報じた。生まれ育ちは日本だが米国生活が長く、70年に米国籍を取得した南部さんの扱いが異なるためだ。
「南部さんを日本人とカウントしないわけにはいかないが……」。素粒子物理学などの基礎研究を支援する文部科学省は、内部資料としてノーベル賞の受賞者数を国別に毎年集計している。これまでは受賞者の国籍で数えてきた。
ノーベル賞が思わぬ余波! 国籍法改正を検討 自民法務部会 - MSN産経ニュース
ノーベル物理学賞を受賞受賞した南部陽一郎米シカゴ大名誉教授が米国籍を取得していたことを機に、自民党法務部会の国籍問題プロジェクトチーム(座長・河野太郎衆院議員)は10日、二重国籍を認めない国籍法改正の検討を始めた。南部氏はすでに日本国籍を喪失しているが、ノーベル賞受賞が思わぬ波紋を広げたようだ。
日本からのノーベル賞大学合格者を増やすために日本国予備校在籍者を水増しする、と読み取れてならない。
現在アメリカに住んでいて日本にもう2年間帰っていない私は二重国籍が認められたら何かと便利だろうなとは思うが、ノーベル賞が国籍法改正の動機だというのは実にせこい。こういうことを議論している時間があれば、優秀な学者を日本につなぎ止めておく方法とか、海外の著名な教授を日本の大学に呼び寄せる方策とかを考えればと思うのだが、世の中は予備校の大学合格者数をどうやって多く見せるか程度の論理で動くものらしい。
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