Richard Stallmanといえばフリーソフトウェアの神様のような存在だ。今回その神様がニューヨークで講演をするとのことで、先日、本人を見に行ってきた。批判の多い人でもあるしそれほど興味の対象でもなかったのだが一度くらいは顔を見ておこうと思ったのだ。話を聞いてみるとやはり氏は偉大な思想家だった。
会場はニューヨークにあるYeshiva Universityの講堂で、参加者は200人くらい。募金などもない完全無料のイベントで、講演後はパーティーまであった。スポンサーがいるのだろうか、ありがたいことである。
講演の内容はソフトウェアの自由と著作権の歴史について。
- フリーソフトウェアの「フリー」は自由という意味。
- 無料という意味ではない(有償のフリーソフトウェアはありうる)
- フリーソフトウェアのユーザには以下の自由があるべきだ
- プログラムを実行する
- プログラムの内部を解析する(=ソースコードを読む)
- プログラムを手を加えずに再配布する
- プログラムを改変して再配布する
- フリーでないソフトウェア(proprietary software)はユーザの自由を制限し、ユーザ同士を分断する
著作権の話はアメリカ特有の話が多かったが、要点を拾いだすとこうなる。
- 古代には著作権の概念はなかった
- 現代では著作権の保護期間は延長される一方
- 一部企業の政治活動も関係している(ディズニーなど)
- 著作権は本来著作者に独占的に使用する権利を保証して技術の進歩を促進するためのもの
- アメリカ合衆国憲法第1条
- ところが現代では著作権を保護しすぎて視聴者の権利が阻害されている
- DRM(デジタル著作権管理)、DVDの暗号化
質疑応答から
質問「最近はどの言語でプログラムを書いていますか」
Richard「時間がなくて実はコードはほとんど書いてないのです」
質問「これだけフリーなOSがある中、どうしてみんなMS Windowsを使っているのでしょう」
Richard「多くの職場で求められるスキルはWindowsですから学校でもWindowsしか教えません。Windowsの教育を受けた人が社会に出て職場にWindowsを導入するというサイクルができています」
その他
GNUの発音はグニューかグヌーかヌーかというような話が昔からあるがRichard本人はグニューと発音していた。本来ヌーとGなしで発音するはずのgnuのぬいぐるみもグニューと呼んでいた。
学者タイプの人によくあるように、言葉の使い方に厳しい。質問者「オープンソースソフトウェアが……」Richard「フリーソフトウェアと言ってください」なおcreatorという言葉もお好きではないそうで、authorかartistと呼ぶべきとのことだった。
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