2008年7月30日水曜日

旅行者のためのユトレヒト・インターネット利用ガイド

オランダという国が好きだ。特においしい食べ物も思いつかないしオランダ語の問題はあるが、風光明媚で人々もやさしい。私がリタイア後移住したい国のベスト5には入るくらい好きである。

ところが、オランダが好きだということを声を大にして言うのは気が引ける場合がある。オランダはああいったことやこういったことが合法なので、

「ほうほう。オランダにいらっしゃる。アムステルダムですか。お好きなんですな」

なんて言われたりする。

そういう人には

「いえ、ユトレヒトに行きます」

と返すと

「アムステルダムじゃないんですか。観光ですね。いいですな」

のような反応をされることが多い。アムステルダムで合法なことはユトレヒトでも合法なのだが、その手の施設はアムステルダムにしかないと思っている人も多く、ユトレヒトに行くと言えば誤解が少ない。そういうわけで私はユトレヒトに行く。

ユトレヒトとは

ユトレヒトはオランダの中規模都市。首都アムステルダムからは電車で30分程度だ。隣国ドイツのフランクフルトからも電車で4時間弱。

ユトレヒトは日本人には馴染みのない都市だが、うさぎのミッフィーを展示したディックブルーナハウスのおかげで近年日本人観光客が増えているとも聞く。

インターネットカフェは非常に少ない。それほど観光客の少ない都市ではないはずなのでもっとネット環境があっても良いのだがそういうことになっている。ヨーロッパの主要駅にある公衆電話式のインターネット端末も見たことがないので、インターネットが利用できる公共の場所は限られる。

インターネットカフェ

私の行ったことがあるインターネットカフェは1軒しかない。Wzzrdがそれで、Wikitravelにも出ているのもこの1軒だけである。

住所はVismarkt 21で、ユトレヒトの中心駅からゆっくり歩いて10分程度。

注意するべきなのはVismarkt 21と思われる場所に行ってもコーヒーショップしかないことである。コーヒーショップとはすなわちドラッグをたしなむ場所なので、まあ入ってみてもよいがとりあえずインターネットは使えない。

ユトレヒトは運河の街で、このインターネットカフェも地上から階段で運河のところまで下りたところにある。店内は薄暗いが回線も速くておすすめだ。

ホテルのロビー

公共の場所かどうかは微妙なところだが、ホテルのロビーでインターネットを使えるところがあると教えてもらった。たとえば駅のすぐ裏にあるNH Utrecht Hotelで、ホテルのロビーに有料の端末がある。自分でPCを持って行けばWi-Fiも有料で使える。私も行ってみたが、さすがにホテルだけあって利用料金は高額である。短時間の利用以外はあまりおすすめしない。

図書館

口コミ情報なので情報の精度は定かでないが、図書館にインターネットの無料端末があるということである。

2008年7月28日月曜日

iPhoneの手書き認識機能で最速日本語入力(ただし中国語モード)

iPhoneで初めて英語を入力したとき、その便利さに驚いた。画面上のキーボードは小さいので打ち間違いは避けられないが、綴りの訂正機能が強力なため、たとえばinternationalのような長い単語はブラインドタッチでもまず間違いなく打ち込める。

それに慣れていると、日本語入力のパワー不足は否めない。テンキー入力のインターフェイスは斬新で楽しいが、かな漢字変換の遅さは苦痛である。iPhoneでメモをとろうと思ってもこれだと鉛筆で紙に書いたほうが早い。

同じ悩みを抱えた方には、ちょっと中国語モードを試していただきたい。もちろん、日本語の文章を書くのが目的である。

Googleで東京都の人口を検索する

例題として、中国語モードで東京都の人口を検索してみる。Googleに「東京都 人口」と打ち込もう。

「東」を手書き入力

「東」の文字を手書きで入力する。候補が右に4個表示されるので一番上にある東を選択。

予測入力の候補から「京」を選択

最初の文字を入れると、次に続く文字をiPhoneが予測して表示する。「東」といえば「京」。これは日本語でも中国語でも同じだ。すかさず「京」を選択。

同じく「都」を選択

ここまでで「東京都」が入力できた。言葉で説明すると長いが、慣れるとここまで3秒くらいである。

スペースは「空格」

左の「空格」ボタンを押してスペースを入力。

Googleが検索候補を表示

「東京都」に続く言葉をGoogleが予測して表示してくれる。「人口」はここにないので入力を続けよう。

「人」を入力

選択候補には日本語にない文字も出てくるが気にしない気にしない。

「口」を入力

選択候補には「口」がない。こういうときにはそのまま入力を続ける。

予測入力の候補が「人員」や「人民」なのには中国を感じさせるというものだ。

検索

「人口」を入力できたら検索する。余談だが東京都の人口は1300万人ほどらしい。

中国語入力の利点

  • 漢字を入力する場合はとにかく早い。
  • 検索、ちょっとしたメモなど、ひらがな混じりの文章を書かなくていい場合はおすすめ。

中国語入力の欠点

  • ひらがなが打てない。ひらがなを打つときは日本語モードに切り替えなければならない。
  • 日本語と同じ形の漢字が中国語にない場合は無理。たとえば「東京23区」の「区」は中国語(繁体字)では違う字体なのでこの方法で入力するのはほぼ不可能。中国語の簡体字も入力方法に加えれば「区」が入力できるが、さすがにそれだと日本語モードに戻して「区」を入力するほうが早い。

遅かれ早かれiPhoneで日本語の手書き入力もサポートされるのだろうから、そのときを楽しみに待つとしよう。

手書き認識機能をオンにする方法(何度も書くが中国語モードであることに注意)

  1. 設定 → 一般
  2. 言語環境を選択(下のほうにある)
  3. キーボードを選択
  4. 中国語(繁体字)を選択(これも一番下)
  5. 「手書き」をオンにする

以後、入力画面で地球マークを押すと中国語モードに切り替えられる。

2008年7月27日日曜日

アメリカの国内線ちょっといい席乗り比べ

飛行機は乗らずに済ませられるなら乗らない、という主義なので飛行機は滅多に乗らないのだが、先日ニューヨークからシカゴ、そしてフロリダを経由してニューヨークに帰るという三角形の旅をした。ニューヨーク・シカゴ往復とニューヨーク・フロリダ往復という切符にしたほうが安くなっていいのだが、2往復となると4度も嫌いな飛行機に乗らなくてはいけない。3度のほうがまだマシである。

ともあれ、今回の旅は各社のちょっといい席を乗り比べてみたのでメモしておく。

ニューヨーク→シカゴ:アメリカン航空のファーストクラス

シートピッチ:99cm。古い機体で座り心地はあまり良くなかった。ただしファーストクラスのためラウンジが使え、機内食も出る。

ところがなにか食事をしようと期待していたラウンジはベーグルとオレンジジュースだけしかなく、チャンネル固定のテレビを見ることしかすることがない。機内の朝食はオムレツが出たがこれまた塩辛くて食べられない。

悲しいことにコスト対効果は一番悪かった。

シカゴ→フロリダ:ユナイテッド航空のエコノミー・プラス・クラス

シートピッチ:91cm。この便はエコノミー・プラスとエコノミーの2クラス制である。座席はよくスプリングがきいておりアメリカンよりも乗り心地がよかった。ただあくまでもエコノミークラスに毛が生えた程度のものなので、ラウンジも使えないし機内食もない。5ドル出して菓子箱みたいなものを買う。

コスト対効果はまあまあ。

フロリダ→ニューヨーク:ジェットブルー航空のエコノミークラス

シートピッチ:86cm。ジェットブルーなので座席はエコノミーのみ。ジェットブルーの売りである広いシートピッチと革張りのシートを初めて体験した。乗り心地はよく、シートピッチだけではなくて座席の設計が大事なのだなと思う。機内食はないがリクエストすればスナック菓子がもらえる。

隣の家族がなにやらうるさかったがコスト対効果は一番よい。

まとめ

ラウンジのサービスがまともならファーストクラスが買いなのだが、不景気や原油高のせいでラウンジのサービスは縮小されている。大きなシートピッチを安価で手に入れられるようになってきているのでファーストクラスの意味はまったくないと思う。

ただエコノミーにすると隣に来る人によっては苦難のフライトになるのがつらい。うるさい家族連れかもしれないし頭の臭い人かもしれない。経験上こういう「事故」はエコノミーで一番多い。

結論としては、月並みながら、エコノミー・プラスが一番、ということです。ファーストクラスより格段に安いし。

2008年7月22日火曜日

日本人を差別する日本食レストラン

ニューヨークには無数の日本食レストランがある。アメリカの他地域と同様、日本語の看板を見て入店してみると韓国料理がメインの店だったりすることもあるがこれはお約束。いちいち腹を立ててはいけない。そういう愉快な店はまた別の機会に触れるとして、今回のテーマは日本人経営の日本食レストランである。

NY在住の日本人が書いているブログを見ると、たまに「有名日本食レストランに行きました。なぜか隣に座っていたアメリカ人のほうがサービスが良かったです」のような書き込みがあったりする。

そんなことはありえないとずっと思っていた。ところが最近私自身が「もしかして」という状況にあたったので紹介してみたい。

有名寿司店を予約する

英語編

英語で電話をかけて予約した。「木曜日の7時でお願いします」という会話の後。ちなみに英語で電話をかけるときは、会話をスムーズに進めるため適当に英語の名前を使っている。

店(英語)「お名前は」
私「ジェームズです」
店「テーブル席になさいますか、カウンター席になさいますか」
私「カウンター席で」
店「スシ・シェフの指名はありますか」
私「(細かいなあ)いえ、適当でいいです」
店「それでは、ミスタージェームズ、木曜日の7時にお待ちしております」

日本語編

同じレストランを翌月に予約した。電話番は日本人なのがわかっていたので「もしもし」というと日本語が返ってきた。同じく木曜日の7時で予約。

店(日本語)「お名前は」
私「磯野カツオです」
店「それでは、磯野様、木曜日の7時にお待ちしております」

ん? 何も聞かないの? 板前は別に誰でもいいけれど、テーブル席かどうかくらいは聞いてほしかったなあ。私が日本人だったからかなあ。それとも電話に出た相手が新入りだったのかなあ。

とある日本料理店から出前をとる

単品料理に少額を追加すると定食にできる、とメニューに書いてあった。

日本語編

私(日本語)「定食にしてほしいんですけど」
店「定食は、やってないんですよ」

英語編

断られた翌週、英語で出前をとってみた。

私(英語)「定食にしてほしいんですけど」
店「はいわかりました」

……。

なぜ日本語を話す客にはサービスが悪い?

もちろんこれはただの偶然かもしれない。しかし、ネット上で人の証言を見ると日本人冷遇という傾向は一部レストランにあるようだ。そこで理由を考えてみた。

日本人は一見の客が多い

日本人客は観光客かもしれないし、一年後には帰国する駐在員かもしれない。NYに住んでいるであろうアメリカ人を相手にサービスしたほうが効率的。

日本人同士の甘え

いやー、今週予約がたくさんあってちょっと一部のお客さんには我慢してもらわないと困るんですよ。日本人同士だからいいでしょ?

日本人は文句を言わないしあしらいやすい

「定食はやっていません」とアメリカ人に言うと「なんでよ? メニューには書いてあるよ」と言うかもしれない。日本人は「はいそうですか」と引き下がる。

まとめ

中国系の店に行くと、あからさまな中国人贔屓を見ることがある。贔屓されないこちらとしてはうれしくないが、中国から来た同胞どうしがんばりましょう、という気持ちは理解できる。日本人の店は日本人客に優遇しろ、というようなことは言わないし必要ない。でも反対に同胞を差別する、ってのは人としてどうなのよ。恥ずかしくないんだろうか。

2008年7月10日木曜日

iPhoneをMacに接続したらiPhotoが勝手に起動する・その対策

気の早い方はそろそろiPhone 3Gを手に入れられたでしょうか。私は手持ちの2G機がまだ動くので、当面は買い控えるつもりです。ともあれ、この記事、いつか書こうとおもって放置していたのですが、賞味期限の切れる前に書いておきます。

iPhoneをMacに接続すると、デフォルトの状態だとiPhotoが勝手に起動します。iPhoneをデジカメとして認識するからなんだそうですが、iPhoneを充電するためだけにMacにつないだのにiPhotoが立ち上がってイライラすることがあります。簡単な対処方法としては、イメージキャプチャの環境設定で「カメラを接続したときに起動する項目」を「割り当てアプリケーションなし」にすればいい、というものがあります。ただ、これだとカメラをMacにつなげたときに手動でiPhotoを立ち上げなければならず、これも面倒です。

そこで、カメラを接続したときだけiPhotoを開き、iPhoneを接続したときはなにもしない(iTunesのみ起動する)手順を書いておきます。

1. Finderを開く

2. アプリケーション→AppleScript→スクリプトエディタ.appを開く

3. こういう内容を書きます

on get_device_name()
set list_devices to "ioreg -Src IOUSBDevice | grep '^\\+'"
set get_name_of_last to "tail -n 1 | sed 's/^\\+-o \\(.*\\)@.*/\\1/'"
set command to list_devices & " | " & get_name_of_last
return (do shell script command)
end get_device_name

on run
if get_device_name() is not equal to "iPhone" then
tell application "iPhoto" to activate
end if
end run

4. ファイルメニュー→保存を選択。ライブラリの下にCameraConnected.appとして保存(名前はなんでもよい)。このとき、フォーマットを「アプリケーション」にする。スクリプトエディタを終了する。

5. アプリケーション→イメージキャプチャ.appを開く

6. メニューからイメージキャプチャ→環境設定を選択

7. カメラを接続したときに起動する項目というところがあるので「その他」を選択したあと、先ほどのCameraConnected.appを選ぶ

8. イメージキャプチャを終了

9. MacにiPhoneを接続してもiPhotoが起動しないことを確認します。ついでに、普通のカメラをMacに接続したらiPhotoが起動することも確認しましょう。

ソース

大元となるソースはこちらです。

Tip: Prevent iPhoto from opening when you plug in your iPhone - (37signals)

上記を改良したものが本稿の元になっています。

Whatever happened to Benjamin Ragheb? - Re: Tip: Prevent iPhoto from opening when you plug in your iPhone

上にあるスクリプトは、最後に接続されたデバイスはioregの出力の一番下にあるという仮定をしています。その仮定が正しくない場合があるという説もありますが(下のリンク先のコメント欄)、私の試した限りでは大丈夫そうだったのでこちらを使いました。

おまけ:Perlな人は

上記のAppleScript中にtailやsedを呼ぶ場所があります。今どきシェルスクリプトの記法かよ、という方は最初の部分をPerlでこう書いてみてもいいです。

set list_devices to "ioreg -Src IOUSBDevice"
set get_name_of_last to "perl -0777 -ne '/.+\\n\\+\\-o (.+?)\\@/ms; print $1;'"

2008年7月2日水曜日

二つ星レストランのおもてなし

先日ミシュランで二つ星に分類されるフランス料理店に行ってきた。私の舌はさほど上等ではないので食べ物の味はおいしい・ふつう・おいしくないの3段階くらいにしか分けられないが、とりあえず二つ星レストランである。注文したのは魚中心のコースだ。

食事が終盤にさしかかったころ、オーナーシェフがテーブルに挨拶に来た。前日に予約したばかりの一見の客に対してもこうして相手するってのはレストラン経営も楽じゃないねェ、なんて思いながら握手をしてもらう。その後本人に調理場なんかを直々に案内してもらって愉快な夜だった。

が、「調理場に入れてもらいました。つまみ食いもしました。さすが二つ星のサービスは違います。終わり」というまとめ方をするつもりはない。これは私がたまたまラッキーだっただけだ。サービスといえば、給仕も5人くらいが入れ替わり立ち替わりやってきたが、これも高級レストランだと普通のこと。

ただ一つだけ、さすがだな、と思ったことがあるので書いておきたい。それは「水」のことである。

私は食事中にアルコールを飲まない。ワインの代わりに飲むのはミネラルウォーター、特に炭酸水である。よくある問題として、1本を飲み干した後2本目を頼むには多いな、どうしようかな、というものがある。

レストランの応対として一般にありがちなのは

「2本目のボトルをあけましょうか」

それか

「水道水にしますか」

というものだ。水道水でいいか、とも思うのだが、ケチと思われるのも癪なのでいつも2本目のボトルを注文することになる。そして2本目は半分も飲めずにお会計ということになる。半分飲めなかったからといって、会計は当然2本分である。

ところが、このレストランはちょっと違った。係の人が1本目のボトルを全部注ぎ終わったのはメインを食べ終える直前。デザートのときにコーヒーも飲むし、でも水も飲むし(猫舌なんです)、もう1本ボトルを注文しようかなあ、と思いつつ残った水をちびちび飲んでいたら、もうないはずの炭酸水が無言でグラスに注がれた。

二つ星レストランは客の意向を聞かずに勝手にボトルを開けるのか、とやや憤慨した。いやそれとも、もしかすると、と思ったら案の定。会計のときに私の予想が当たっていたことがわかった。

その追加の炭酸水は会計に含まれていなかったのである。

客がグラス一杯だけの水を欲している。しかし水はボトル単位でしか売らないという理由で一杯の水にボトル一本分の値段を付けるのが普通のレストラン。一杯の水くらいサービスしようというのがこのレストラン。

小さなことながらお客は確実に満足する。素晴らしいおもてなし。恐れ入りました。

12月30日追記

10月に、このレストラン(ダニエル)がミシュランで三つ星になった。