2008年4月27日日曜日

ニューヨークで運転免許を取る長い道のりその4:路上試験

その3:安全運転講習の続き。

自動車学校に試験を手配してくれるよう頼んだ翌週、「4週間後に試験の予約を入れた」という電話がかかってきた。

もくじ

持ち物

  • 試験に必要
    • 仮免許証(lerner permit)。筆記試験終了後に送られてくる写真つきのもの。
    • 5時間教習の修了証
  • 自動車学校によって必要
    • 試験用の車を借りた領収書
    • 待ち合わせ場所までの交通費(自宅まで迎えに来てくれるところもあるらしいが)
  • その他
    • 順番待ちのときに読む本など

テスト用の教習

試験の1時間半前に待ち合わせ。アメリカ人のおじさんがやってきた。試験場まで連れて行ってくれるのかと思ったら、いきなり運転を代わらされて試験場まで行けという。道案内はしてくれるものの、少し驚いた。

試験場に行くまでの道すがら、たまに縦列駐車や一時停止の練習をさせられる。

習ったポイント。

  • 一時停止は停止線で一度止まり、さらに交差点に入るときにもう一度止まる
  • 縦列駐車は縁石から2フィート(60センチ)以内、タイヤの向きは道路と平行でないといけない
  • 方向転換は試験官によってthree-point turn、K-turn、Y-turnなど呼び方が違うが全部同じもの

試験場に到着して1時間待たされる

試験場に到着したら順番を待っている他の車が10台くらい。試験官が二人で回しているのだがなかなか順番が来ない。散歩をしたり昼寝をしたりして順番を待った。

テスト

試験官のおばさんが助手席、私が運転席。教習所の先生は同乗できないが、試験官のおばさんとは顔なじみであるらしく「よろしく頼む」みたいなことを言っていた。

専用の試験コースがあるわけではなく、一般の路上を言われた通りに走る。信号がまったくないコースで走りやすかったが、その逆に一時停止の標識は5回くらいあった。一時停止は2度停止、という先生の言葉をそのまま実行する。

途中交通量の少ないところで縦列駐車と方向転換をやらされる。日本と違って坂道発進やS字はない。踏切は存在もしない。

途中「pull over」など聞き慣れない英語に戸惑ったが、いちいちその度に「do you mean to stop?」などと聞き返したら大丈夫だった。私と違って真面目な人は安全自動車学校の単語帳で暗記をして行くほうがいいと思うけれど。

テストは10分くらいでもとの場所に帰って来たら終了。その場で合否が告げられる。私は減点なしの合格ではあったが、試験対策の講習を受けていなかったら20点くらいは引かれていたかも。ちなみに安全自動車学校は採点表を公開している。

まとめ

免許取得の費用は合計250ドルくらいだった。内訳は

  • 陸運局に払う費用:55ドル
  • 自動車学校での5時間教習(義務):40ドル
  • 自主的に受けた路上教習(1時間)、試験対策教習(試験当日1時間)、路上試験のための車レンタル:合計約150ドル

となる。これで日本の免許を持っていなくても(持っているけど)国際運転免許を作って日本でも運転できる。日本の免許に書き換えもできるが、細かい手続があるため警察庁のページを参照。

日系の自動車学校を使わなかった理由

日系の自動車学校に行くと、日本語で教習が受けられ日本語のテキストがもらえる、さらに日本人の友達ができるかもしれない、とメリットが多数ある。私は日系の自動車学校も英語の自動車学校も問い合わせはしたけれど、最後まで英語の自動車学校にお世話になった。

意図的に日系を避けたというよりは、スケジュールが合わなかった、場所が合わなかった(マンハッタン近郊で路上テストをしてくれるところは見つからなかった)というのがその理由。英語にアレルギーがなければ英語の教習所を使うほうが選択肢も多いしいいと思う。

ちなみに日系の自動車学校、決して高くはない。良心価格である。

2008年4月26日土曜日

ニューヨークで運転免許を取る長い道のりその3:安全運転講習

前項では仮免許を取るところまで書いた。

筆記試験を受けるだけで仮免許がもらえるのは日本とだいぶ違うが、一応これでもう路上の運転ができる。

もくじ

路上の練習

路上の練習は任意なので別にしなくてもよい。特に日本で普通に運転歴がある場合ならなおさらだ。

NYS DMV - Driver's Manual - Chapter 1

When you pass the vision and written tests and pay your fees, your learner permit will be issued and you may begin learning to drive. Every time you practice driving, you must be accompanied by a licensed driver at least 21 years old who has a license valid for the type of vehicle you are driving.

友達や家族など、運転免許を持った21歳以上の人が同乗すれば車を普通に運転できる。免許を持った人が周囲にいない場合は、自動車学校に電話すると先生が迎えに来てくれて1時間の教習をしてくれる。ちなみに日本と違って練習コースのある自動車学校はない。

私は右側通行が不安だったので1時間だけ教習をした。インド人の先生、1時間で40ドルくらいだった。

5時間講習(安全運転講習)

路上練習はしなくても免許が取れるが、5時間講習は必須である。

仮免許をもらったら、自動車学校に電話して5時間講習の予約をする。これは教室で安全講習を受けるもので、どこの自動車学校で受けても良い。

日系の自動車学校だと日本語で授業を受けられるが、電話をかけたら「2週間後までいっぱいです」と言われ、やる気をなくして「明日開いてます」という自動車学校で英語の授業を受けた。40ドルだった(ちなみにいろいろな自動車学校に問い合わせたが、30ドルから50ドルまで価格の開きがあった)。

退屈な授業時間を過ごしたのち、テストも何もなく終了。途中休憩を挟んだりした上に早めに終わったので賞味3時間半だった。修了証が後で必要になるのでなくさないように、と言われる。

路上試験を予約

5時間講習を済ませると、最後のステップは路上試験である。日本なら手ぶらで行って試験場の車に乗るところだが、ニューヨークではこの路上試験、自分で車を手配しなくてはいけない。つまり1)友達や家族の車を借りて2)試験場まで同乗してもらって3)試験のために車を貸してもらわないと試験が受けられないということになる。私も最初は友達に頼もうと思ったのだが、試験は基本的に平日に行われるため友達の線はあきらめた。

幸い自動車学校が試験のために車を貸してくれるサービスを行っている。ネットで自動車学校を調べ、電話をしたらどこもこういうことを言う。

  • 試験の場所と日時は自動車学校にまかせてほしい(車の手配の都合がある)
  • どこも予約でいっぱいなので1、2か月先になる
  • マンハッタンでは路上試験が行われていないため、ブルックリンかスタッテン島で受験する
  • 試験の当日に1時間の試験対策レッスンをするのがおすすめ

自動車学校によっては、

  • 割増価格(70ドルくらい)を払えば3週間以内の予約が取れる

と豪語していたが、そこまで急ぎではない。

ちなみに日系の自動車学校にも電話してみたが、

  • ウェストチェスター(電車で1時間くらい。日本人多い)で受験してもらいます

と言われたので却下。遠足じゃないんだから。

いろいろと比較検討した末、スタッテン島にある自動車学校で送迎+1時間教習+試験のための車レンタルを手配した。100ドルと少し。

2008年4月25日金曜日

ニューヨークで運転免許を取る長い道のりその2:筆記試験

運転免許の取得を決めたら次は仮免許のステップである。仮免許証は筆記試験(と視力検査)に合格したら即日交付される。

もくじ

身分証明書を集める

6点制と呼ばれる制度がある。他の人がたくさん書いているので割愛するが(その1のリンクをご参照ください)、私がDMVに持って行ったものは以下の通り。

  • パスポート(3点ぶん)
  • Social Security Card(2点ぶん)
  • 米国で発行されたクレジットカード(1点ぶん)

住所を証明するものは求められない。写真つきの仮免許証(learner permit)が自宅に送られてくるからそれで確認、ということなんだろうか。

ついでにNYS DMV - Forms Downloadのページから申請書(MV-44)をダウンロードして事前に書いておけば準備万端。

DMVは長い行列に並ぶことが多いので当日申請書をもらってその場で書いても問題ない。自分の身長をフィートとインチで書かなければいけないことだけ注意。

Social Security Cardのない場合の対処法はNY州運転免許証のページに詳しく書かれている。

筆記試験の準備

筆記試験は4択の20問。16問正解で合格となる。NYS DMV - Driver's Manual - On-line Driver's Manual and Study Guideのページに教科書と練習問題があるのでやっておけば大体同じ問題が出るので間違いない。

一応日本語でも受験できるし日系の自動車学校が日本語での練習問題も公開しているが、私は英語の勉強も兼ねて英語で受験した。

DMVに行く

NYS DMV - Local DMV Officesを見て自分の行きやすいオフィスに行く。私はマンハッタンのオフィスに開館時刻の8時半より前に行ったのだがすでに行列ができていた。

書類を提出して写真撮影。その後筆記試験である。4択なのでマークシートかと思いきや、マスの中にアルファベットを書き込む形式だった。英単語がわからなくて2問くらい間違えたが一応合格(正解数など成績は教えてくれない)。

筆記試験を合格すると視力検査(遠くにあるアルファベットを読む)。55ドルを払って写真のない仮免許証(interim learner permit)を受け取り終了。写真つきは2週間くらいで送られて来たと思う。

ちなみに不合格の場合はもう一度入り口に並び直せば良いと聞いた。後日出直してもよい。筆記試験に合格するまではお金を払わなくてよいはず。

2008年4月24日木曜日

ニューヨークで運転免許を取る長い道のりその1:前置き

ニューヨーク(ここではニューヨーク州のこと)に住むものにとって、運転免許の取得は面倒な問題である。他の州では日本の免許をそのままアメリカの免許に書き替えたりしてくれるが、ニューヨークではそのようなことはない。

もくじ

リソース

リンク

国際免許じゃだめなの?

国際免許は1年有効。だからとりあえずニューヨークに引っ越して最初の年は国際免許でしのごう、と思ったらそれが落とし穴になる。

NYS DMV - NYS DMV - Driver License, Learner Permit and Non-Driver Photo ID Card

If you become a resident of NYS, you must get a NYS driver license within 30 days and surrender your out-of-state driver license. Normally, you cannot have a NYS driver license and a driver license from another state, but there are exceptions. It is a violation of Federal law to hold more than one commercial driver license (CDL).

ニューヨークの「居住者」の場合、日本の運転免許は無効の扱いとなる(国際運転免許も)。法律上は日本の免許証は没収されることになっている(上記リンクに取り上げられた後に返してもらったという話がある)。

もちろん、ニューヨークの「居住者」ではない場合、国際運転免許があれば空港でそのままレンタカーを借りてニューヨークを旅行できる。

International Driving Permit: An International Driving Permit is not a driver license. The permit only verifies that you hold a valid driver license in your home country. Your foreign driver license, not the International Driving Permit, allows you to drive in NYS.

ちなみに、日本の運転免許があれば法律上は国際運転免許がなくても運転できる(検問にあったとき面倒なことになりそうだけれど)。

ここで「居住者」の定義がわかりにくいため、別ページに解説がある。

NYS DMV - Definition of a NYS Resident

Section 250 (5) of the Vehicle and Traffic Law defines the term "resident." The law defines a resident as a person who lives in NYS with the intent to make NYS a "fixed and permanent" place to live. To live in a house, a home, an apartment, a room or other similar place in NYS for 90 days is considered "presumptive evidence" that you are a resident of NYS.

90日以上ニューヨークの住宅に住んでいれば「居住者」となるらしい。ただし学生だけは例外扱いされていて、

According to this law, students from other states or from other nations who attend school in NYS are normally not considered residents of NYS.

「留学生は居住者ではない」とある。

この項まとめ

日本からニューヨークに引っ越して「居住者」になった人はニューヨークの運転免許を取らないと運転できない。総領事館も

在NY総領事館:アメリカの運転免許に関する情報

国際運転免許証で自動車を運転していたところ、警察官に止められ、「無免許運転」として違反切符を切られるといった事例が、たびたび当館に報告されています。

と注意している(居住者になって30日をすぎると無免許の扱い)。

2008年4月19日土曜日

Filter::SQLが使いやすくてしかたがない

Filter::SQL 作った - id:kazuhookuのメモ置き場にある、Filter::SQLが使いやすくて仕方がないという話。

前にも書いたけれど私はPerlのデータベースプログラミングに苦手意識がある。SQLもPerlも人並みにはできるけれど、その両方がまざったのはどうもだめだ。

だいたい、こちらはSELECTだけをすればいいのに

use 5.010;
use DBI;

my $dbh = DBI->connect("dbi:SQLite:dbname=foo.db");
my $sth = $dbh->prepare("SELECT * FROM table WHERE bar > 1");
$sth->execute;
while ( my $row = $sth->fetch ) {
say join "\t", @$row;
}

のような呪文を書かなくてはならないのは苦痛だ。connectはわかるけれどprepareやexecuteは人間のするべき仕事とは思えない。何よりもSQL文と出力を表示するところが離れているのが嫌だ。

SQLを書かずに全部Perlですませればいいかというと、必ずしもそうでもない。SQLを書かないようにするとSQL::Abstractを使ったりして

my ( $stmt, @bind ) = $sql->select( 'table', '*', { bar => { '>', 1 } } );

となるが、これも私の頭のキャパシティを超える。

PerlはPerl、SQLはSQLがそこそこ分離され「見た目にわかりやすい」ものをずっと探し求めていた。そこにFilter::SQLというモジュールの登場である。先の例はこう書き替えられる。

use 5.010;
use DBI;
use Filter::SQL;

Filter::SQL->dbh(DBI->connect("dbi:SQLite:dbname=foo.db"));
for my $row (SELECT * FROM table WHERE bar > 1;) {
say join "\t", @$row;
}

これです、私の長年求めていたものは。SELECTがそのまま書けて、さらにそのまま配列が返る。書きやすくて仕方がないし読むのもわかりやすい。SELECT文のまわりに引用符がいらないのも良い。SELECTの最後のセミコロンは一つのおまじないだけれど、prepareしてexecuteしてfetchするよりずっといい。DBIx::Simpleよりもさらにシンプルだ。

ソースを見てみるとFilter::Simpleを使った小さいモジュール。明快に書いてあってこんなことなら自分で書けばよかった、と思ったがそれを人はコロンブスの卵と呼ぶ。

追記(4月20日)

はてなブックマークでmiyagawaさんいわく

prepare,execute,fetchを一気にやるなら素のDBIでも selectall_hashref とか

コメントありがとうございます。どっちかというとselectall_araryrefのほうが近くて(Filter::SQLの内部で使われています)、上のスクリプトは

my $dbh = DBI->connect("dbi:SQLite:dbname=foo.db");
for my $row ( @{ $dbh->selectall_arrayref("SELECT * from table WHERE bar > 1") } ) {
say join "\t", @$row;
}

と書きかえられます。

SQL::Filterのほうが明らかにインターフェイスが優れていますが(私の好みの問題でもあります)、企業などでモジュールをインストールできないといった方はDBIそのままでもそれほど悪くない、ということだと思います。

SELECTするためにDBIを素で使うことがほとんどないのでselectall_arrayrefなんて忘れてました……ごめんなさい:)

2008年4月15日火曜日

王女様とティーパーティー

ベルギーという国がある。日本からは直行便がないため旅行先としてはメジャーになりきれないが、ワッフルやチョコレート、そしてベルギービールで有名なのはご存じのとおりである。ベルギーの正式名称はベルギー王国。国名からわかるように王様がいる国だ。王国という概念は日本ではなじみがないが、タイやイギリスも王国である。ヨーロッパには王国が多く、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダも王国だ。

ベルギーの王室の政治的な発言力は近年低下したそうだが、一般市民のなかでは大きな存在らしい。首都ブリュッセルには巨大な王宮が美しい姿を見せている。昨年ベルギーに行ったときは書店では王様一家のアルバムのようなものが売られていた。ちなみに王家の自動車には特別なナンバーがついており、追い越すことはご法度だとタクシーの運転手がぼやき気味に教えてくれた。

さてそのベルギーの首都ブリュッセルに滞在中、ある日の午後のこと。私たちの泊まっているホテルの中庭でベルギーのチャリティ団体が寄付を募っていた。ベルギーのプリンセス、つまり王女様が後押ししているチャリティだという。お城の中のお姫様とチャリティの組み合わせとは、真面目なものだろうか、それともお姫様のイメージアップの作戦なのだろうか。でもイメージアップなら外国人が多いホテルじゃなくて駅で募金活動をやらなきゃだめだよな。そういうことを考えつつベルギー来訪記念に寄付をした。

 ◇ ◇ ◇

手持ちの現金から払ったので決して多額ではないのだが、寄付をした人があまり他にいなかったからだろう、「お茶が用意してありますので別室へどうぞ」ということになって、テラスに通された。紅茶と一口サイズのケーキが用意してある会場だ。紅茶をついでくれる給仕の人たちの他にはテレビカメラを構えたマスコミの人が多数いた。あと私たちと同時に入ってきたお金持ちそうなご婦人が一人。この人も寄付をしたのだろうか。

お茶を一杯飲んでしまったら他にすることもないので帰ろうと思ったら、そのご婦人が話しかけてきた。ブリュッセルはフランス語圏だが流暢な英語である。

 ご婦人「どちらから」
   私「ニューヨークに住んでます。日本人ですが」
 ご婦人「ベルギーは仕事で来たのですか」
   私「いえ観光です。とてもいいところですね」(社交辞令)
 ご婦人「いいところでしょう」

ご婦人はちょっと上からの目線。ヨーロッパのお金持ちはこういう感じなので気にしないが、何をしている人だろうと思って家族のことなど聞いてみる。

   私「ご家族はご一緒ですか」
 ご婦人「ええ、階下にいますのよ」
   私「みなさんお元気でいらっしゃるんでしょうね」
 ご婦人「家族全員幸せにしています」

ふとカメラのフラッシュ。新聞社とテレビ局のカメラが私とご婦人を取り囲んで撮影をしている。あまり寄付が集まったとも思えないし、盛り上がらないイベントに終わりそうだが、だからといって私とご婦人の会話を記事にするのはかなり無理がある。給仕とカメラに取り囲まれる着飾ったお金持ち女性と普段着の日本人。妙な取り合わせだ。

 ◇ ◇ ◇

お金持ちとの会話は苦手なのでご婦人との会話はほどほどで切り上げ、さらに注がれた紅茶を飲みほし、カーペットの階段を下りて退出した。中庭に戻るとまだ寄付を募っている係の人たちがいた。

   私「ごちそうさまでした。そろそろ帰りますね」
 係の人「ありがとうございました」
   私「そういえばマスコミがいっぱい来ているけどあれはなんですか」
 係の人「今日はVIPが来ていますから」
   私「ああ、あの女の人でしょ? あの人は何者ですか」

係の人、困惑をした表情で私を見る。知らなかったのかよ、と言いたげに咳払いをする。

 係の人「あのご婦人はベルギー王国の王女様です」

今さら説明するまでもないが、すべてストーリーがつながった。王女様というのは姫、つまり子供なんだと思い込んでいた。しかしよく考えたらベルギーの国王はお年を召している。王女様はもう大人のご婦人でいらっしゃったのだ。