2008年5月8日木曜日

そろそろShibuya.pmについて一言いっておくか

技術コミュニティってのが嫌いでした。最近はまともな人が多いのかもしれないけれど、10年前などはそれはもうひどいもの。メーリングリストが主なコミュニケーションの手段だった時代で、そこにあるのはくだらない喧嘩と、知識をひけらかす上級者、内輪受けのシグネチャ。私はメーリングリストは読まずに自分のディスクにためておいて、必要なときだけgrepで検索する日々でした。Perlもラクダ本で独習して人並み以上(たぶん)にはできるようになり、もう学ぶことはないものと思っていました。Perlをはじめとする技術文書や本を翻訳するアルバイトをしていたのもこのころです。

時は流れて5年前、Shibuya.pmことShibuya Perl Mongersができました。それもテクニカルトークをするとのこと。技術コミュニティのオフラインミーティング。メーリングリストと同じ雰囲気ならあまり行きたくないなあ、と思い実際に最初の集まりには行かずにおきました。そういう私がなぜ第2回の集まりに行くことにしたかといえば開催地の近所で飲み会だったかの用事が偶然あったからで、ただの気まぐれです。

ところがテクニカルトークに出席してみて驚きました。そこでは本に出ていない技術(Inline系のモジュールでした)、それも今すぐにでも使える技術が紹介されていました。本には枯れた技術しか出ていないのが普通ですし、日々進化を遂げるこの世界、既存のウェブサイトにすら出ていないことがたくさんあっても当然のことなので、驚く方がおかしいと言われればその通りですが、とりあえずびっくりしたのを今でも覚えています。さらにPerlを使ってネットサービスを行っている会社の紹介もあり、「企業系の開発はJavaかC++」だと思っていた私には新鮮な刺激でした。ちなみに私、このころはPerlよりはC言語が得意でした。

質疑応答にも感銘を受けました。「それ、○○でもできるんじゃないですか」(おお、TMTOWTDIだ)、「それは計算量が多くなると思うんですが大丈夫ですか」(ギークのくせに態度が横柄じゃないぞ)、「そこの13行めの正規表現ですけど」(あんな小さいの見えるのか)。

◇ ◇ ◇

さらに時はたち、私はNYに住むようになりました。NYにもPerlの集まりがあるため、主催者に連絡をして出席してみました。飲み会だけのNY.pm、真面目なPerl Seminar NY。参加する前は敷居が高く感じたものの、Perlの集まりはShibuya.pmで経験済みだったので気持ちは楽でした。

右も左もわからないニューヨークという土地に私の所属するグループができ、さらにその場に何年も前からいたかのように周囲が接してくれたことで、Perlの会合が新生活の心の支えになったのは言うまでもありません。日本のShibuya.pmから来ました、と言ったら「日本にもPerl Mongersがあるのか」という反応がよくありましたが。

NYでPerlの集まりに参加して面白かったのは、やっぱりここでもTMTOWTDIだったことです。「Maybe you can do it in that way?」みたいな。

日本にいたときはShibuya.pmでもYAPC::Asiaでも発表をすることはありませんでしたが、米国に引っ越して以来YAPC::NAをはじめ米国のあちこちで発表をすることとなりました。初参加のYAPC::NAなどで臆せずに数百人を相手にでき、どの発表も好評を博したのはShibuya.pmで学んだことの積み重ねがあったからです。

◇ ◇ ◇

Perlはコミュニティがすばらしい、ということがよく言われます。そうはいってもコミュニティに参加したことのない、参加する機会のない人にそういう言葉を繰り返しても説得力がないだけ。「コミュニティ? うさんくせえ」と思っていた私にPerlコミュニティがいかにすばらしいかを教えてくれたShibuya.pmは最高の存在です。Shibuya.pmなしにはいまの私はありえない、といっても過言ではありません。

そして、特筆すべきはShibuya.pmがまだ活動を続け、さらに拡大していること。主催イベントのYAPC::Asiaにいたっては参加者が500人を超え、アメリカのYAPCから比べれば冗談としか思えない数字です。

今年のYAPC::Asiaには行きたかったのですが、やむを得ない事情で参加できません。会場の雰囲気を感じにIRCくらいは見に行きますのでそのときはよろしくお願いいたします。

末筆ながら、Shibuya.pmの運営者のみなさま、テクニカルトークの発表者の方々にお礼を申し上げます。

0 件のコメント:

コメントを投稿